歯科で治療を受ける際、麻酔を受けたことがある方は多いと思います。
歯科で使用している麻酔は、通常の手術の麻酔とは異なる特徴があります。麻酔の種類や、麻酔を受けた後に注意すべき点について、正確に知っておきましょう。
目次
歯の麻酔とは?
歯の治療に伴う痛みをなくすために、麻酔を使うことがあります。
歯科で使用する麻酔は、局所麻酔で、次の3種類があります。塗るタイプの麻酔には、ジェルやスプレー、シールなどの種類があります。
表面麻酔
麻酔をするとき注射針が刺さるときの痛みをなくすために、歯茎の表面に塗る麻酔
浸潤麻酔
治療のときに最も多く使われている、注射針で注入する麻酔
伝達麻酔
浸潤麻酔では麻酔が効きにくい親知らずの抜歯の際に用いられる強めの麻酔
歯科治療に使用する麻酔は局所麻酔ですから、妊娠中の女性でも受けることができます。
妊娠中はつわりなどで口腔内環境が悪化しやすく、歯を悪くする方が少なくありません。
出産時に歯の痛みがあると大変つらいですから、虫歯などがあれば出産前でもきちんと治しておくことが大切です。
また、持病で服薬している方やアレルギーのある方は、麻酔が効きにくかったり、よくない反応を起こすことがあります。麻酔の前に医師にご相談下さい。
麻酔の持続時間
歯の麻酔は、治療後もしばらく効きます。およその持続時間は次の通りです。
一般に、大きな歯を抜いて後の痛みが大きいと予想されるほど、麻酔は強く多くなり、持続時間も長くなります。
子どもは大人よりも麻酔の使用量が少ないので、大人よりも早く、1〜2時間程度で麻酔が切れます。
ただし、麻酔の効き方は個人差が大きいので、あくまで状態を見ながら対処して下さい。
- ・浸潤麻酔…1~3時間くらい
- ・伝達麻酔…3~半日くらい
歯の麻酔には副作用もある
まれに麻酔にアレルギー反応を起こしたり、注射に含まれているアドレナリンで動悸が起こることがあります。
最悪の場合はアナフィラキシーショックを起こしていることもあります。麻酔をした後に次のような症状が出た場合は、すぐ受診してください。
- ・気分が悪くなる
- ・悪寒がする
- ・吐き気がある
- ・めまいが起こる
- ・血圧が低下する
- ・けいれんを起こす
麻酔を受けた後の注意点:いじらない
麻酔をしたところは、感覚が麻痺しています。患部が腫れぼったくなっているので気になるかもしれませんが、噛んだりいじったりすると、どんどん腫れ上がってしまいます。
特に、麻酔が効いていると噛んでも痛くないので、思った以上に強く噛んでしまうことがあります。
いったん腫れてしまうと、せっかく麻酔が切れても患部が治りにくくなりますので注意しましょう。
また、麻酔が切れかける頃になると、かゆみや疼きを感じることがあります。
この時期にどうしてもいじってしまうので、特に、子どもの場合は親御さんが注意して見てあげることが必要です。治療したところを舌や手でいじると、細菌が入り込んだり詰め物が取れたりすることもあります。
麻酔を受けた後の注意点:食事
麻酔をした後は、麻酔が切れるまでは食事を控えるのが原則です。麻酔で口の感覚が鈍っているので、食事を摂ると頬の内側や唇を噛んでしまうことがあるからです。
また、熱いものにも鈍感になっているため、やけどをする可能性があります。
熱くない水分を取る程度にとどめ、麻酔が切れて感覚が正常に戻ってから食事を摂るほうが安全です。
目安としては、浸潤麻酔なら、麻酔後2時間程度、親知らずの抜歯なら3時間程度は食事しないようにお伝えしています。
アルコールも控えましょう。お酒は血行を促進するので、痛みや出血を促したり、患部が腫れたりすることがあります。
やむを得ず、麻酔が切れる前に食事を摂る場合は、柔らかくて刺激が少ないもの、冷たいものを少しずつ食べましょう。
治療した歯とは反対側の歯を使って、ゆっくり食べます。特に、次のようなものがおすすめです。
- ・よく冷ましたおかゆ
- ・ゼリー
- ・プリン
- ・豆腐
- ・ヨーグルト
麻酔を受けた後の注意点:運動や入浴
麻酔を使った治療を受けた後は、激しい運動は控えましょう。
運動で血行がよくなると出血しやすくなりますし、痛みが増幅します。
散歩程度はよいですが、スポーツと呼ばれるような運動は、麻酔が切れるまで止めましょう。
同じ理由で、長時間の入浴や熱いお風呂もよくありません。麻酔が切れてからも、痛みが残っているうちは、さっとシャワーを浴びる程度にとどめておくようにしましょう。
麻酔が切れても痛みがある場合には?
麻酔は基本的に治療中の痛みを緩和するもので、麻酔が切れた後も痛みが残ることがあります。
痛みが予測されるときには、クリニックで予め痛み止めを処方していますが、手元にない場合には市販の痛み止めを服用しても良いでしょう。
何か違和感を感じた場合は、自己判断せず、すぐに受診して下さい。
まとめ
痛みのない治療をする上で、麻酔は欠かすことができません。
ただし、麻酔が効いている間は、口腔内や唇などがいつもとは違う状態になっていますので、さまざまな注意が必要です。
特に小さな子どもの場合は、麻酔が切れるまで大人がしっかり見守ってあげることが大切です。