虫歯はれっきとした病気です。
「たかが虫歯」と侮ってはいけません。
虫歯が進行すると抜歯のリスクだけでなく、夜眠れないほどの激しい痛みや外からもわかるほどの顔の腫れといった症状、顎や血液に関する病気などを引き起こします。
歯の健康を保つことは、間接的に体全体の健康を保つことなのです。
目次
虫歯は自分で予防できる
虫歯は毎日の口内ケアで予防することが可能です。
しかし正しいケア方法を理解している人は少ないようです。
日本人は欧米諸国、特に虫歯予防先進国フィンランドやスウェーデンなどに比べると歯の健康に対する意識が薄いと言われています。
自分で歯の健康を管理し病気を予防する、日ごろからの取り組みが大切です。
ここでは今すぐできる6つの虫歯予防法とプラスαの予防策を紹介します。
自分でできる6つの予防法
1.ブラッシング
もっとも基本的な予防法がブラッシング(歯磨き)です。ただ単にゴシゴシ磨けばいいというものではありません。また回数をこなせばいいわけでもありません。
正しいブラッシングのポイントは以下です。
- 磨くときに力を入れ過ぎない
- 小刻みに振動させるように磨く
- 一本一本丁寧に磨く
- 毛先がやわらかめの歯ブラシを使う
食べカスやプラーク(歯垢)を落とそうとして力いっぱい磨く人がいますが、これは逆効果です。歯の表面を傷つけてしまうことでそこにプラークが溜まりやすくなり、むしろ菌が侵入しやすい環境を作ってしまいます。歯肉(歯ぐき)を傷つけることにもなるので歯周病を誘発する要因にもなります。
力を入れ過ぎてしまう人は毛先がやわらかめの歯ブラシを使い、毛先が広がる前に交換しましょう。交換時期としては使い始めてから1か月~2か月が目安です。
2.電動歯ブラシ
電動歯ブラシの高速振動によって、頑固なプラークを取り除く効果が期待できます。
音波ブラシや超音波歯ブラシといった種類がありますが、超音波ブラシは毛先の動きが高速すぎることから、近年では音波ブラシが勧められることが多くなっています。
使い方のポイントは通常の歯ブラシと同じように、一本一本丁寧に、を心がけてください。
3.デンタルフロス
デンタルフロスや歯間ブラシは、歯と歯のすき間の食べカスやプラークを取り除くのに効果的です。通常のブラッシングだけではどうしても取り除けない場所に入り込み、プラークを除去します。
デンタルフロスには大別して糸状タイプと柄付きタイプの2種類があり、指に巻き付けて使用する糸状タイプは前歯周辺、奥まで届く柄付きタイプは奥歯周辺というように上手く使い分けることで、より効果が高まります。
4.洗口液
デンタルリンスやマウスウォッシュとも呼ばれる洗口液は、手軽に使えることから毎日の口内ケアとして人気がありますがただ使うだけでは効果がありません。
使用するタイミングは、丁寧なブラッシングが終わった後です。洗口液だけでは食べカスやプラークはほとんど除去することができません。スッキリ感を持てることから、汚れが取れたような気になっている人が多くいるので気を付けましょう。
また過度にアルコールが強い洗口液は、脱水反応により口内を乾燥させることで粘膜を弱め、虫歯菌の活動を活発化させることにもつながるので要注意です。
5.フッ素入り歯磨き剤
歯の表面を覆う組織(エナメル質)はミネラルやイオンで生成されており、私たちの歯を守っています。しかし不衛生な口内環境の下では、虫歯菌が出す酸がその表面を溶かし、ついには象牙質と呼ばれる歯の本体まで侵してしまうのです。
これを防ぐのがフッ素です。フッ素は歯の再石灰化を促します。つまりミネラルやイオンが溶け出すのを防ぎ、強い歯を作ってくれるのです。
フッ素入り歯磨き剤は市販のものも多くありますが、フッ素が含まれる量によっては効果が期待できない場合もあるので、できれば歯科医院で売られている・お勧めされているものを選びましょう。
6.喫煙後のケア
喫煙と虫歯の因果関係に疑問を持つ人もいると思いますが、両者は決して無関係とは言えません。原因はタバコのヤニにあります。ヤニにはネバネバとした粘着性があるため、プラークや雑菌を歯や歯の間に付着させやすいのです。
日ごろから丁寧にケアをしていれば問題ありませんが、同じようにケアをしている非喫煙者よりも虫歯になりやすい要因を抱えている、ということは是非心に留めておいてください。
自分で「治す」ことはできるのか
冒頭で、虫歯は自分で予防はできるが治すことはできない、と言いましたが実は例外もあります。放置したままで自然に治ることはありませんが、進行が初期の段階であれば先ほど紹介した予防法で進行を食い止め改善することは可能です。
虫歯の進行度はC0、C1 、C2 、C3 、C4 の5段階で表され、数字が若いほど症状は軽度です。初期段階C0、C1であれば自分で治すことができます。
C0では、まだ虫歯菌が歯の表面であるエナメル質を溶かしているだけの状態です。これを脱灰と言いますが、この状態を放置することにより次のステップであるC1に移ります。C1ではさらに脱灰が進み、エナメル質に小さな孔(あな)が空きます。
この時点では痛みや腫れなどの自覚症状はなく歯の本体には菌が到達していないので、しっかりとケアを続けることで治る可能性はあると言えるのです。
歯科医院でできる2つの予防
歯科医院でできる予防とは正確に言うと、歯科医院でしかできない予防です。
その予防とは主に次の2つです。
- プラークや歯石の除去
- 正しいアドバイス
当然ですがプラークの除去をはじめとした口内ケアは、自分で行うよりも歯科医院で行った方が効果が高いです。またプラークが固まってできた歯石はブラッシングや洗口液などでは取り除くことができない上に、虫歯菌やその他雑菌の温床にもなります。
歯科医院ではこうした予防とともに、セルフケアについて専門的なアドバイスをもらうことができます。ブラッシングの方法はもちろん、自分の歯や歯肉の状態に合った歯ブラシや洗口液の種類、その他気を付けるべき生活習慣のポイントなどです。
自分でできる虫歯予防にはどうしても限界があります。自分の歯の健康ひいては体の健康を守るためにも、歯科医院を利用して100%に近い予防に務めましょう。