大事な歯を失いかねない!?本当は怖い歯周病。

 

歯周病の本当の怖さをご存知でしょうか。

口の中だけの病気だと認識しているとしたらそれは誤りです。

また30~40代からしか発症しない病気であるとよく言われますが、これも誤りです。

 

正しい知識を持っていない人が多いことから、歯周病にかかっていることを自覚しないまま日常を送っている人がたくさんいます。

 

老若男女問わず発症する可能性があることやどのような弊害が起こるのかについて、その根拠と共に紹介します。

 

日本と欧米の違い

歯周病は口内細菌感染症です。

まったく口内に歯周病菌を持っていない人と持っている人がキスをすれば感染します。

 

こうした基本的な認識が日本は進んでいないと言われます。

ドイツやスウェーデンを中心とした欧米諸国では歯や歯肉に関する病気への関心が高く、自分でできる予防策ケアの重要性は広く意識されています。

 

たとえば日本は気軽にキスをする習慣が少ない文化ですが、なぜ歯周病にかかる人が多いのでしょうか。原因の1つは歯磨き時に使用するコップにあります。

日本では同居している同士で同じコップを共用している人の割合が全体の約30%であるのに対して、ドイツは5%、スウェーデンは8%と大きな差があるのです。

多くの日本人は日常生活における歯の健康に対する意識が薄いことが歯周病になりやすい最大の特徴と言えます。

 

若年者にもリスクはある

10~20代の若年者にも歯周病は大いに関係しています。

6年に一度行われる歯科疾患実態調によると、15~24歳の歯周ポケット保有率が2005年よりも2011年の方が約3%増加したという結果です。(歯周ポケット=歯と歯肉のすき間)

 

注目すべきは他のどの年代も減少している中で15~24歳だけが増えている点です。

スマホやネットの普及による睡眠不足や不規則な生活リズム、食生活の欧米化、栄養不足などが原因とされています。

 

若年者でもかかるケースのある歯周病の1つが若年性歯周炎です。

歯周炎とは歯周病の後期の段階のことです。

 

若年性歯周炎の特徴は、歯周病の原因であるプラークや歯石が一般的な歯周病に比べて、それほど蓄積されていなくても起こることです。

原因は2つです。

  1. 歯周ポケットが深いことからプラークが溜まりやすい状態にある
  2. 歯槽骨(歯や歯肉を支える骨)がプラークを吸収しやすい状態にある

 

加齢とともに口内環境を清潔に保つ唾液分泌や栄養の循環機能が衰えていくことは事実ですが、あくまで確率の話であり、若いから100%かからないということではないのです。

歯周病は中年以降の病気だ、と認識していた10~20代の人は早期発見・治療のためにもこの若年性歯周炎の存在を知っておいてください。

 

歯周病による4つのリスク

1.歯を失う

歯周病は歯と歯肉のすき間に溜まるプラークに含まれる歯周病菌によって起こります。

放置すると歯肉が炎症、出血したりする歯肉炎となります。

さらに放置するとそれらの症状が悪化し、歯の周りの骨が溶ける歯槽膿漏となり歯を失うことになるのです。

日本人が歯を失う最大の原因がこの歯槽膿漏です。

 

氷が溶けて無くなると元には戻らないように失った歯は二度と再生しません。

口内における歯周病最大のリスクはこの永久に戻らない歯の喪失だと言えます。

 

2.心筋梗塞

歯周病菌は歯肉から血液に侵入し体全体を巡ります。

その毒素には血液のスムーズな循環を滞らせたり、炎症による血栓を作ったりする弊害があります。

冠動脈が詰まると心筋(心臓を構成する筋肉)に血液が運ばれないため、動脈硬化など心筋梗塞を引き起こすのです。

 

3.糖尿病

歯周病が原因で血液に毒素が入り込み血栓や炎症が起きることは、血糖値のコントロール機能が低下する病気である糖尿病と深く関連しています。

ブドウ糖を減少させる効果を持つインスリンの機能低下にもつながり、血管の収縮や体内の傷の回復機能(創傷機能)の低下といった弊害を一層強めることになります。

このように糖尿病と歯周病は双方向的に関係していることがわかります。

 

4.肺炎

高齢者が亡くなる理由として多いのが誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)です。

誤嚥とは食べ物や飲み物が誤って気管や気管支の中に入り込むことです。

つまり誤嚥性肺炎は、歯周病原菌が多く存在する唾液、痰、食べ物などを誤って入れてしまうことで、肺の中で菌が増殖してしまう病気です。

 

以上、歯周病は歯を失うだけでなく様々な病気と関係する恐ろしいリスクを含んでいることがお分かりいただけたかと思います。

リスクを低減するスケーリング

歯周病のリスクを低減するには歯科医院で行うスケーリングという歯石除去治療が有効です。スケーリングには3つ種類があります。

1.スケーリング

歯に付着した歯石を除去する治療です。

歯石とはプラークが固まってできた菌の温床で、歯磨きやマウスウォッシュでは取り除くことができません。歯医者ではスケーラーと呼ばれる専用器具を利用して、歯石を削り取ります。一時的ではなくプラークやその他細菌が付着しにくい歯の環境を作ります。

 

2.ディープスケーリング

スケーリングが歯の歯石だけを除去する治療であるのに対して、歯肉(歯ぐき)の少し深い部分の歯石を取り除くのがディープ(深い)スケーリングです。

歯肉が炎症を起こしていたり痩せていたりする場合は、出血しないような施しをしてから治療が行われます。

 

3.スケーリングルートプレーニング(SRP)

歯と歯肉のスケーリングに加えて、歯石を除去した後に歯根表面を潤沢な面に仕上げる治療です。

プラークや歯石で弱った歯質を専用の器具で研磨することによって、歯周病菌やその他細菌が再び歯に付着しやすくなることを防ぎます。

 

まとめ

歯周病は年齢に関係なく起こる病気であり、口内だけの問題ではありません。

ただ、歯周病がSilent disease(沈黙の病気)と呼ばれることからも、初期の段階では自覚症状が少ないため早期発見するのが難しい病気です。

 

歯磨きの時や食事の時に歯肉から血が出る、腫れている、歯肉の色が赤黒い、しみる、といった症状を感じた場合はすぐに歯科医院を受診しましょう。

たとえ歯周病だと診断されなくても、具体的なセルフケアの方法や予防策についてのアドバイスも受けることができます。

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